屋根の形や色などで「個性」と称して奇を衒い、周辺の家と異なった特色を出しても、肝心の生活の中昧は驚くほど似通っているのです。リピングルーム、ダイニングルーム、物置き化した寝室など部屋の構成、置かれる家具や電化製品など。個性の時代と言われ、衣服や食にこだわっていながら、住まいは既製の間取りや構成に縛られて、あまりに無個性な空間になっています。このような側面は、悲しいかな、住む側のイマジネーションが乏しいから生じていると言うこともできます。
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住宅相談にみえた30代の奥様は、中学生と小学生の子どもを私立の学校に入れ、通学のために駅に近くて便利なマンションを購入しました。とても快適だということでしたが、2LDKで子ども2人に1室ずつ与えたので、自分たち夫婦には寝室がなく、家具に埋もれたリビングルームに布団を持込み、寝る場所を作っているという状況でした。さすがに何とかなりませんかというご相談でしたが、この状態では寝室にはほど遠く、さながらキャンプ生活にも近く、体をゆっくり休め、夫婦で会話を楽しむどころではありません。この場合は当然2部屋のうち大きな方を夫婦の寝室にし、小さな部屋を工夫して、子ども2人で使わせればいいのです。現在のような使い方は、子どもにとっても良いわけはありません。